コラム02:はるか図鑑

今年は飛躍の一年だった。


被写体としての今年の活動のテーマは「ノンストップ」だった。去年の今頃に漠然と感じていたのは、2014年に築いたものが今後の被写体人生を左右するであろうということ。 また、2014年の頑張りは全て報われるということだけは何故だか確信していた。だからこそ、2014年のテーマを「ノンストップ」と決めた。テーマどおり、どんなに忙しくても無理してスケジューリングして、新しいチャンスを逃さまいと努力した。新しい人と出会い、その人の感性に触れ、被写体としてカメラとどう向き合っていくか試行錯誤した。色々な人の感性に触れすぎて、自分が何を持つべきか迷走した時期もあった。自分だけでは見ることのできない世界や空気にたくさん触れることができたことが今年の一番の収穫だとも思っている。

 

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被写体として、ずっと考えていたことはいつも一つだった。「自分を如何にして表現するか」ということ。人間は様々な顔を持っている。クズな自分、正しい自分、迷っている自分、苦しい自分、恋している自分、死にたい自分、、、。撮影を通して、そういう自分たちと向き合い、理解して、素直に表現する。言葉にするとなんだか陳腐な感じがするけれど、その過程がとても好きだった。今でも好き。撮影のテーマに沿った自分を探して表現する。だから、私は撮影する度に新しい自分と出会うことができた。どんなに汚い自分でも作品として昇華されることによって、自分を認めてあげることができた。それ故に、どす黒い苦しい感情を楽しむ癖がついてしまってネガティブを拗らせてしまったのも否めない。けれど、負の感情は、表現する上でとてつもない力を発揮するのも事実だと思う。おかげさまで、とてもいい作品たちを今年は被写体として残すことができた。

 

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また、「自分を表現する」ということにおいて、重要なことは「演じないこと」だと思っていた。けれど、振り返ってみれば、結局、私はいつも自分を演じていたのだということに、あるとき気付いた。その矛盾を受け入れることができずに、演じることなく生の自分を表現するにはどうすればいいのか、カメラを意識することなく表現するにはどうすればいいのか試行錯誤したこともあった。カメラの前でスイッチを入れることが正しいことだと思っていたのに、それが間違いだと認識してしまってからの空回り具合ったらそりゃあ酷いものだったと思う。スイッチを入れずにカメラの前に立つことは難しすぎた。撮影時の自分の状態と撮影者の撮りたいイメージが一致することなどはありえない奇跡だと思う。そうなると、やはり、スイッチを入れてそれを応えるしかなかった。(お互いにイメージを持たずにナチュラルな状態で撮り撮られることができるのは、家族や親友や恋人だったり、何かしらの関係がないとできないことだと思う。)

 

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ということを、何度か繰り返してたどり着いた結論は、「スイッチは入れてなんぼ」「自分を演じてなんぼ」ということ。

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